一般的に、直貼りサイディングの外壁は塗装に向かないと言われていますが直貼り工法で施工されたサイディングでも塗装できる場合もあります。
ですが、内部の状態や塗料の選定など塗装の際の注意点もあります。
直貼りのサイディングがなぜ塗装できないと言われるのか
まず大前提として、直貼りサイディングの外壁でも、塗装による外壁のメンテナンスは可能です。
直貼りサイディングの外壁が「塗装できない」と言われる理由は、直貼りサイディングの塗装が、通気工法のサイディングの塗装より湿気の影響を受けやすいためです。
直貼りサイディングは構造上、湿気の影響を受けやすく、下地壁とサイディングの間に空気層を設けていないので通気の確保ができていません。その為、塗装後に塗膜の膨れや剥がれを起こす可能性が高くあります。
直貼りサイディングの外壁をまとめて「塗装できない」と決めてしまうのではなく、外壁材の状態や適切な塗料を選ぶことで塗装が可能な場合もあります。
一軒一軒の外壁の状態や、周りの環境に応じて判断していく必要があります。
外壁サイディングには2種類の施工方法があります
外壁のサイディングには、「直貼り工法」「通気工法」の2種類の施工方法があります。工法の違いによって外壁の劣化スピードも違い、通常、通気工法のサイディングの方が長持ちします。
直貼り工法は、壁材の防水シートに直接サイディングを貼り付ける工法で、通気工法は、防水シートの上に胴縁とよばれる材を取り付け、その上にサイディングを設置する工法です。
直貼りサイディングは、壁材とサイディングの間に空気層を設けていないので通気の確保ができていません。その為、塗装後に塗膜の膨れや剥がれを起こす可能性が高くあります。
直貼りサイディングかどうか確認する方法
自宅のサイディングが直貼り工法か通気工法かは、サイディングの下部を見ることで確認できます。
サイディングと、その下にある仕切り(水切りと呼ばれる部分です)との間が指が入るくらいのスペースがあれば、空気の通り道が確保されている=通気工法が用いられている場合が多いです。
この部分がコーキングなどで塞がれている場合は、直貼り工法が使われています。
また、1990年代〜2000年まではサイディングの標準工法が決まっていなかったため、そのころ建てられた家には、直貼りサイディングの外壁が多く見られます。
直張りサイディングの劣化症状への対処方法
サイディング自体が劣化している場合は張り替えが必要です
直貼り工法に見られる外壁表面の剥がれやひび割れなどについては、塗膜そのものの問題ではなく、外壁内部に生じている問題によるものが多くあります。
「パミール」は、1996年から2008年にニチハより製造されたスレート屋根材です。
現在は販売されておりませんが、施工10年前後でひび割れや剥がれなどの不具合が見つかることが多く、当時はテレビや新聞でも報道されました。
ニチハは窯業系サイディングで知られる最大手の外壁メーカーで、パミールも普及率の高い屋根材でした。
膨れや剥がれなどの症状がほとんどない場合は、透湿性を持つ塗料で塗装ができます
直張り工法のサイディングでも膨れ・剥がれなどの症状はほとんど出ていないといった場合は湿気を逃がす働きのある透湿性をもつ塗料で塗装ができます。
透湿性のない塗料を選んでしまうと、こもった湿気の逃げ場がなくなり、塗装やサイディングだけでなく、壁材の劣化にもつながります。
しかし、外壁材のダメージを見極めて、塗装のメンテナンスで良いのか、正しい判断が重要となってきます。
そもそも、直貼り工法に関する知識や経験のない塗装業者も存在します。そのような業者へ工事の依頼をすると、すぐに塗膜の剥がれ、膨れなどのトラブルが起きてしまうことがあります。
そのようなことから、本当に透湿性塗料の塗装で問題ないのか、サイディングの張り替えが必要なのか、しっかりと点検を行なってくれる実績のある塗装業者に相談することが重要になります。